私たちがなき人をおもい、葬儀を営む際、欠かすことのできない礼拝の対象があります。

それはご本尊「阿弥陀如来(南無阿弥陀仏)」です。

ご本尊は、私たちの先人が、苦労も多い日常生活を送るとき、

身近なあの人に別れを告げるとき、

どんな時もたよりにしてきた智慧の結晶です。

先人たちは「南無阿弥陀仏」をとなえその智慧を胸に置くことではじめて、

あの人を失った悲しみ〈愛別離苦〉を「生きる力」に変えていけることを知っていました。

「身近な人の死」は、私たちにその人から受けた「恩」を想わせ、

「生死無常」という現実に目を向けることを促します。

その「促し」から目を逸らさない態度こそが、

私たちが仏前にお供えできる一番大切なものなのです。